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風雅、舞い - 第十三章 二人の間 (1)
「…………」
「…………」
 舞と雅樹は、隣に座っていても、口を開かない。
「…………」
 そのふたりの前、運転席に座る智子は、既に話題を振って、玉砕していた。だからもう話しかけることはない。
 高速道路を北へと向かう小さなバンに、智子と舞、雅樹が乗っていた。トランクルームに入れてある数台の計測機器が、時々音を立てる。
 月は10月に入った。
 トーナメントの後、特に変化はないように見えていた。
 だが、少しずつ、変化が現れていた。と言っても、変化があったのは雅樹だけだった。
 日に日に口数が少なくなり、反応が悪くなっていった。模擬戦闘を行っても、全く覇気がなかったり、逆に攻撃が雑になったりと、目に見えた変化が現れていた。
 神薙に負けたのがよほど悔しかったのか……それとも、何か別の理由があるのか……。
 と考えていても、答は見つからない。そもそも智子はあまりふたりに接していたわけではないし、むしろ今ここにいることの方がイレギュラーだと感じていた。
 観測が必要だからって、なんで私が……鳳夫妻だけでも手一杯なのに、もうひとり……。
 視線をバックミラーに向けて、カーナビを見て、再びバックミラーを見て、口を開いてみる。
「もうすぐサービスエリアだから一服するわね。何か食べましょ」
「あ、はい」
「俺はいらない」
「…………」
 ……なんでこんな面倒な役回りを私に任せるのよ……研究所にいたかったな……。
「そういえば知ってる? 新しい研究員が入ったんだけど」
「へー」
「…………」
 ……帰りたい……。
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