KAB-studio > Machician > 第3話 三者三様 (3)
Machician - 第3話 三者三様 (3)
「さて、どうしようか。王子は3ヶ月しかいないんだよね」
 ジャージはカレンダーを持ってきてテーブルの上に置く。
王子が来たのが6月13日だから――」
 ジャージの人差し指が3ヶ月をなぞる。
「――3ヶ月だと9月13日になるけど」
 ずきん、とうめの胸に痛みが走る。
「そうですね、詳しい話は聞いていないのですが、帰るのはこの前後になると思います」
「……………………」
うめ、夏休みっていつから?」
「あ、えと、多分7月20日……あ”〜!!」
 7月を差す指が震える。
「どうしたんですか?」
「……えっと……だいたいこの辺くらいから……」
 指が7月1日あたりへと移動する。
「期末試験がある」
「キマツ試験?」
「学期末、この場合1学期の最後にある全教科のテストのこと。王子も当然受けるんだろうけど」
「勉強どうすんの! 王子数学酷かったじゃない!」
「そういえばそうでした」
「赤点取ったら補習だよ! 夏休み潰れちゃうよ! あー!!」
 うめのラヴラヴデート計画が音を立てて崩れ去っていく。
「仕方ない、来週から土日勉強しようね……」
「勉強するのなら明日からした方がいいのでは?」
 キッ! という飛ぶ鳥が落ちそうな視線にシーバリウはひるむ。
「う”……はい、わかりました」
「なるほど、明日はあんた達デートってわけね」
「ええっ!?」
「いや、見てればわかるし。でも正直、私も引く気はないよ。毎週土日どちらかでも来て欲しいな」
「うーん……」
「それに、勉強は放課後だってできるでしょ?」
「あ、それはしてます」
「……」
 正直、土日両方とも勉強、というのはうめにとっても耐え難い苦痛だった。
「りょーかい、じゃあ土曜日ここに来て、日曜は勉強、でいい?」
「はい、そうします」
「ってゆーかあんたもう尻に敷かれてない?」
「? それはまた不思議な慣用表演ですね。どういう意味なのでしょうか」
「知らなくていい……」
 検索