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Machician - 第4話 機械の魔法、機械の天使 (1)
「へーっ、ホントに混んでないんだねー」
 試験が終わった週、答案返却日の前日の日曜。シーバリウうめ紫恋高士、そしてジャージの5人は、市営プールに来ていた。
「こんなに空いてるのは7月だからかな」
 うめさんの水着は黄色のセパレートです。布地が大きめで動きやすそうです。健康的なうめさんに似合ってます。でも……うめさんって、やっぱりあまり胸は大きくないみたいです……。
「こんなに暑いのに? ここはおととしくらいにできた穴場だから、まだあんまり知られてないみたい。すぐ口コミで広まって混んじゃうんだろうけど」
 紫恋さんの水着は黒のワンピース。うめさんと比較してはいけないのでしょうけど、この歳にしてあの胸の大きさは……「たわわ」というのはこういう時に使うのでしょうか。背も高いですしその姿が絵になりますねぇ。
「……」
 二人の後ろにジャージさんが隠れる様にしてついてきているのですが……なんだかすごく恥ずかしがっています。なぜなのでしょうか……。普段の赤いジャージに見慣れているせいか、白のワンピースと淡い水色のパレオがとても新鮮に見えます……背の高さがうめさんと同じくらいなのでどうしても比較してしまうのですが、スタイルもかなりいい方だと感じます。でもなぜゴーグルは外さないのでしょうか……。
「姉さん、ちょっと……」
 高士さんの水着は僕のものと同じです。黒にラインが入ったトランクスタイプのもので、昨日デパートで選んだものでした。僕はよくわからないので高士さんに選んでもらったものです。高士さんは格闘技の訓練をしていらっしゃるので無駄のない体つきをしています。部活もしているのでところどころ日に焼けています。
王子、泳ご!」
 って言って無意識に手を継ないじゃったけど……王子って背が高いから細く見えるけど、手とかも私よりずっと大きいんだよね、当たり前だけど……それにしても透き通るような白い肌……ちょっとうらやましいかも。でも体曲げると力こぶできるんだよね、やっぱかなり鍛えてるのかも。ぜい肉全然ないし。だからこんなに色白でもひょろっとした感じないんだよね、ちょっと不思議……。
「? どうしました?」
「あ、ううん、まずあれから!」
「ってあの高い滑り台からですか!?」
 そんな二人を見送る紫恋高士
「……ねぇ、本当に俺達来て良かったの? うめさん、二人きりで来たかったんじゃ……」
「今日のはね、うめが言い出したの」
「え?」
 と言ったのはジャージ紫恋は振り向いて言葉を継なぐ。
「この試験勉強の御礼と、それに――」
「あ……」
 ジャージはうつむく。
 ――話は、試験最終日に遡る。
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