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Machician - 第10話 HACの街 (26)
「好きなのは手だけ?」
 真美は手を握りながら、そう訊く。
「え、そ、そんなことありません! 僕は、……」
 シーバリウも少し顔を赤らめて。
ジャージさんの飾らない、でも優しい話し方が好きです。顔も、やはり美しいと思いますし、それに……」
 シーバリウは真美を見つめたまま、必死に次を考える。
「ぷっ」
 思わず真美は吹き出してしまう。
「な、なんですか?」
シーバリウ、」
 と、一息ついてから。
「……好き」
「え……」
「好きよ、シーバリウ
「……」
 シーバリウの顔が、急激に赤くなる。
「…………」
「……何だまっちゃって。こういうの慣れてると思ったんだけど」
「慣れてませんよ!」
「!」
「あ、すみません」
 思わず声が大きくなった。
「慣れてませんよ……」
「そうなの? うめと付き合ってたんだし、紫恋とも……」
「それとは……別、という感じがします。それに、それを言ったらじ……真美さんだって」
「私は――」
 顔を赤らめて横を向く。
「恥ずかしがるのを忘れてただけよ。私だって全然経験ないし。ほら、いつもゴーグル着けてたし、外して人前には出られないし」
「あ……」
「で、でもね!」
 ふたたび真美は、シーバリウへと顔を向ける。鼻と鼻が擦れそうな程の、距離。
シーバリウが魔法を解いてくれたからとか、そういうことじゃないよ! シーバリウはなんていうか……一緒にいて安心できるし、信頼できる。どこか、似ている所があるのかもね」
「似ている所……」
 そうだった。
 ジャージさんは、僕のことを、誰よりも知っていた。誰よりも理解していた。
 だから、僕は魅かれているのかもしれない。
「……ふぅ」
 今日三度目の深呼吸をしてから。
「真美」
「え」
 シーバリウは、唇を重ねた。


「あ、降りる駅過ぎてた」
「そういえばそうですね……」
「ま、いっか」
 続く。
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