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Machician - 第5話 待逢として (3)
「パイロットシートからハッチを開けて外には出られないのか?」
「ハッチが開くまでにかなり時間が掛かりますから……パニックに陥って凶行に出られると」
「外からなんとかできないのでしょうか」
「強制的にハッチを開く方法はあります。こちらは一瞬で開きますが……我々には権限が与えられていませんのでこれは行えません」
「権限?」
「はい。ただ、対策班ではこの方向で進めているようです」
「それにしては時間が掛かってるな」
「安全を最優先に行っているためです。我々としては、巡査が犯人を説得するのが最善の手段だと考えています」
「それはそうでしょうけどね」
 ジャージの棘のある言い方に、姫山巡査は質問で答える。
「犯人は、あの装甲多脚を踏みつぶす、と言ったそうですが」
「ってゆーか私、あの人から嫌われてたもの。私に復讐でもしたいんじゃない?」
「それじゃ、ふりかはそれに巻き込まれたっていうんですか!!」
「そ、そういうわけじゃ……」
 花山に強く言われてジャージはとたんに弱腰になる。
ジャージ君だけでなく、シーバリウ君や私にもそういう意識はあった。誰が悪いということではなく、単なる逆恨みだと思う」
「それは間違いない。俺らけしかける時も、理由なんて本当にあったのかどうか……はっきり言って、林田さんの言ってることよくわからなかった」
「……先ほどおっしゃった装甲多脚って、外に置いてあるあの機械のことですよね。あれは使えないんですか?」
「あれは頑丈なだけだから、セラフには勝てっこないし、魔法も……そうだシーバリウ、魔法でなんとかならないの?」
 期待に充ちたジャージの目に、シーバリウは申し訳なさそうな顔を返す。
「僕が持つ最大威力の攻撃魔法が消威されずに直撃したとしても、活動不能にはできないでしょうし、何より……あの機械には抗魔法力が働いていますから、僕の魔法はほとんど効かないと考えるべきでしょう」
「魔法が効かない?」
「……確かに、セラフって対AP用に作られたって話だから、魔法に対する防護策が取ってあってもおかしくない……」
JCTHUってのは呼べないのか?」
 姫山巡査がむっとする。
「それであれば、我々が対応します」
「その対応が遅いから! ……問題になってるんじゃないですか」
 自分を落ち着かせるような花山のトーンダウンが、当分の間膠着状態が終わらないことを示していた。
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