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Machician - 第9話 君がそこにいるから (1)
調停委員会、って……」
 HAC調停委員会
 正義の味方とすら言われる、神のような存在。
 だが。
 目の前の存在は、とても正義の味方には見えなかった。
「時間がない。手短に説明する」
 ウィルゴと名乗った男は両手をかざし、その間に闇が生まれる。
 中央に映る石人、その周りに立つワース
「見えるか」
 映像の一部、石人の足下が拡大される。
「棒……?」
「まさか……」
 そのシーバリウの声は、震えている。
「20分後に封印が強制解放される」
「ちょ、それって」
「周囲5キロは消し飛ぶ」
 冷静なウィルゴの説明に、誰もが息を飲む。
「……でも、それじゃ、あいつら自滅する気なの?」
 紫恋が震える手で指さす。
「そうだ。あの兵隊達は使い捨てだ」
「使い捨て、って……」
「解放後、核のみを回収して逃亡、それが目的だ。JCTHUに通報しても間に合わない」
「じゃあHACに……って」
 そのHACが目の前にいた。
「残念ながら、我々調停委員会は現在手が空いていない」
「え……」
 全員が絶句する。
 正義の味方が、手が空いてないって……。
「私もただの人工知能だ。本体は別の業務に就いている」
「でも」
 と、ジャージ
調停委員会は今まで一人も人死にを出していない。ということは、何らかの方策があるってことなんでしょ?」
 ふふ、とウィルゴは笑む。
「別に、ここにいる全員が死んでしまえば、私がここにいた証拠は残らない。違うかね?」
「……」
 ジャージは、何も言えなかった。
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