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Machician - 第12話 たったひとつの確かな理由 (2)
「私も魔族です。残念ながら私自身の血統とは関係がないのですが、それでも、フーディン様が私にとって偉大であることにはかわりありません……ですから」
「はい、フーディン様とこれからはお呼びします」
「はい?」
 イヴァンディはあっけにとられていた。
「それに、僕は魔族の戦争利用、いえ、利用というのもおこがましいですね、あなたも含め、僕は魔族の人格を尊重したいと考えています。ですから、戦争の道具になど決してしません」
「本当ですか?」
「本当です」
 シーバリウの真摯な目が、決して逸れることなく、イヴァンディの白い黒眼を射抜いた。
「……なるほど、王の格とはこのようなものなのですね」
 イヴァンディは、笑ったかのように見えた。
「時間もありません、手短に説明いたします」
 イヴァンディは手を伸ばし、その手から緑の布が伸びて通路を伝う。
「この道沿いに進めば魔力の源泉がありますので、そこで回復なさってください」
「魔力が回復するのですか?」
「ええ。その場所で、あの方を助けるための作戦を練られるのがいいかと」
『あなたは来てくれないの?』
「私の仕事はこの件全体の解決ですから、石人を放っておくわけにはいかないでしょう?」
「あ……」
 外には、まだ石人がいるはずだった。2人のワースが殺されていれば、その周りに被害が及ぶ。
「あなた方にはあれは抑えられませんし、私では、皆さんのお友達を殺してしまいますから」
「……」
「それに、あなたのお父様もほったらかしでしたしね」
「あ”」
 イヴァンディは反対の手を伸ばして、布を伸ばす。赤い壁面に突き立てられたそれが、黒い円を作り出し、それが開ききると、元いた世界が現れる。そこでは、まだ石人とワースが戦っているようだった。
「石人の核がここに来た、ということは核はフーディン様が作られたものでしょう。そこから対策をお考えください。では私は参ります。1時間後にはここに戻ってきてください、もう一度開きますから」
「……間に合わなかった場合は?」
「ご安心ください、シーバリウ様がいらっしゃるのなら何とかして頂けるでしょう。少なくとも」
 にっこりと笑って。
「あの方を殺さずに核だけを破壊する、それよりは容易いでしょうから」
 と言って、イヴァンディは外へと出て行き、円は閉じた。
「お父さんのことお願いね!!」
 その言葉が届いたのか届かなかったのか、それでも紫恋には、イヴァンディが手を挙げて応えたように見えた。
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